インストラクショナルデザイン関係の文献紹介
ひとつまえのエントリ
インストラクショナルデザインと大学図書館 - xiaodong's memo
でインストラクショナルデザインの文献について紹介しようと思って忘れてました。あくまで私が読んだ文献で偏っていると思いますが,3つご紹介します。
- 向後千春. インストラクショナルデザイン―教えることの科学と技術. 早稲田大学人間科学学術院向後研究室. 2012, 120p. http://kogolab.chillout.jp/textbook/2012_ID_text.pdf, (参照 2013-06-10).
- 稲垣忠, 鈴木克明. 授業設計マニュアル―教師のためのインストラクショナルデザイン. 北大路書房, 2011, 196p.
授業設計マニュアル―教師のためのインストラクショナルデザイン
- 作者: 稲垣忠,鈴木克明
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2011/03
- メディア: 単行本
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- J.M.ケラー. 学習意欲をデザインする―ARCSモデルによるインストラクショナルデザイン. 鈴木克明監訳. 北大路書房, 2010, 351p.
学習意欲をデザインする―ARCSモデルによるインストラクショナルデザイン
- 作者: ジョン・M.ケラー,John M. Keller,鈴木克明
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2010/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 15回
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1つめの『インストラクショナルデザイン―教えることの科学と技術』は,インストラクショナルデザインについて私が初めに読んだ文献です。早稲田大学の向後千春先生の授業のテキストということで,ボリュームも結構あるのですが,インストラクショナルデザインについて全く知らない人にもわかりやすいように丁寧に解説されて読みやすかったです。Webで公開されているので気になった方は読んでみるとよいかもしれません。
2つめの『授業設計マニュアル―教師のためのインストラクショナルデザイン』は,学校の教室でおこなわれる授業を対象にして,先生が学習指導案と教材,評価方法などをインストラクショナルデザインの考え方を取り入れながらどのように組み立てるとよいか解説した本です。巻末には「授業パッケージ制作シート」というワークシートがついていて実際に授業をデザインする際にどういった点に目を向けるとよいかがわかりやすく示されています。こちらもワークシートはWebで公開されています。
授業設計マニュアル―教師のためのインストラクショナルデザイン―特設ページ
http://www.ina-lab.net/special/id/
3つめの『学習意欲をデザインする―ARCSモデルによるインストラクショナルデザイン』は,インストラクショナルデザインのなかで,ARCSモデルという動機づけに着目した理論を中心に紹介した本です。ARCSモデルとは,注意 (Attention), 関連性 (Relevance), 自信 (Confidence), 満足 (Satisfaction)という4つの要素に着目して学習者の学習意欲をどのように高めていくことができるかについて説明したモデルです。「主体的な学び」や「アクティブ・ラーニング」など学生の主体的な学習活動を促すには学習意欲を高めることが必要になるので,ARCSモデルは参考になるのではないかと個人的には考えています。この本は読み始めた時に前提知識がなかった私には少し難しく研究レビューの解説部分でくじけそうになりましたが,第3章ぐらいから具体的な説明がはじまっておもしろくなってきました。
インストラクショナルデザインのモデルは絶対にこうしなければならないというマニュアルのようなものではなく,授業などのインストラクションをデザインするうえでどのような点について考えていけばよいのかについて客観的な視点を提供してくれるものかなぁ,と私はそんな風に感じました。